院長高木友徳
1998年京都大学教育学部卒業、2000年愛知教育大学大学院修了(教育学修士)。臨床心理士として複数の医療機関に勤める中で、患者に対して心理的な領域だけでなく薬や身体的な面からもアプロ―チとしたいと考えるようになり、医師を志す。2009年岡山大学医学部卒業、2019年開業。
「患者」「スタッフ」ではなく「人」として
ともに人生のステップアップをめざします
精神科のデイケアは「こころのリハビリテーション」をする場所です。ご本人の持つ力をポジティブに伸ばし、苦手なところは専門家と一緒にカバーしていきます。デイケアでの活動体験は治療に非常に役立っており、治療とは車の両輪のような関係といえます。
当院のデイケアの一番の目的は、メンバーさん自身がセルフケアをできるようにすること。病気も含めて上手に自分をコントロールし、もともと持っている強みを生かして人生のステップアップにつなげてほしいと思っています。デイケアでは、全体や小グループに分かれストレスのマネジメントや対人関係のスキルアップなど多彩なプログラムを行うほか、学校の放課後のように好きなことをして過ごす時間も用意しています。
専門性を有する信頼できるスタッフがそろっていますが、「スタッフ」「患者さん」という垣根を超えて、互いに愛称で呼び合い、笑顔あふれる温かな交流が生まれていることが当院の大きな特徴でしょう。「人」として一人ひとりが尊重し合い、支え合う場所になっていることがうれしいですね。
看護師北山彩乃
看護師として疾患教育や食事、睡眠についての講座を担当。「ともこころのクリニック」の開業に合わせて勤務を開始した。院内ではWRAPファシリテーターの役割も担う。園芸活動においては「名誉部長です」とほほ笑む。
お互いを支える関係性を大切に
医療面から心と体をサポートします
病気についての教育や食事、睡眠についての講座を担当しています。メンバーさんと他愛ない話をしている中で、身体面の相談に乗ることも仕事の一つですね。「最近、便秘がちなんだけど」「足がそわそわする」などのお話を聞いて、薬の影響や副作用を考えて医師につなぐなど、医療の視点を持って情報のやりとりをしています。さらに、自分自身の調子が悪くなるときのサインなどをつかみ、元気回復のために対処、行動することをめざすセルフケアのプログラム(WRAP)を他のスタッフやピアサポーターの増川ねてるさんと一緒に行っています。例えば「大きな音が苦手」という方には音が聞こえたらどうしたらよいかという「自分の取り扱い説明書」をつくっていきます。
専門的な知識やプログラムを提供しつつも、ここいる私は「看護師」というより「ひとりの人間」です。メンバーさんと「仲間」になれるような関係づくりを大事にしています。メンバーさんから教えてもらうこと、助けてもらうことがたくさんあります。皆さんのおかげで生き生きと働けていると思っています。
作業療法士三宅美穂
2020年に「ともこころのクリニック」に入職。精神科の作業療法士として20年以上の経験を持つ。デイケアを、誰もが順調に社会復帰できるよう準備をする場とし、「対人関係や日常生活において次のステージに行けるように自分の役割を果たしたい」と話す。
20年以上の豊かな経験を生かし
その人らしさを大事にしたケアを行います
当院には、うつ病の方も多いのですが、長くおうちの中で過ごすと体力が落ちてしまうことがあります。私はそうした方々に対し、ヨガやストレッチ、軽い筋力トレーニングなどを行うプログラムを担当しています。若い方から中高年、60代ぐらいの方までを対象に、あまり負荷が大きくなく継続可能な運動を取り入れています。
メンバーさんと接する際に心がけているのは、その人らしさを大事にすること、そしてメンバーさんの意思をできるだけくみ取って実現していくことです。例えば「花を育てたい」「料理をしたい」などの声を聞いたらそのときがチャンスです。作業療法士は作業活動によるリハビリを行うことが仕事ですが、このデイケアで求められていることはさらに幅広いと思っています。これまでの経験で培った知識を生かし、他のスタッフとも協力し、何かしらの作業活動を通して新しいプログラムづくりや認知リハビリテーションにも関わっていきたいです。もし一人で苦しんでいる方がいればぜひ相談ください。少しでもお力になれるのではないかと思います。
心理師川里真理
臨床心理士、公認心理師。いくつかの精神科病院の勤務を経て、2019年開院と同時に「ともこころのクリニック」へ。高木院長とは最初の病院で出会って以来の縁で、志を同じくする同志だ。
「私はいつでもここにいます」
心に寄り添い、専門的にアドバイスします
心理師として担当しているのは、SST(社会スキルトレーニング)やマインドフルネスの考えを取り入れたプログラムです。今この瞬間に意識を向ける練習をしたりそのコツを伝えたり、また、コミュニケーション力を養うために人との関わり方をロールプレイすることもあります。SSTは院長がもともと注力しており、希望されるメンバーさんも多いです。ふとしたときにメンバーさん同士でロールプレイが始まることがあるほど浸透しています。2ヵ月に1回は、思いつくままに雑誌を切り取って紙に貼りつけるコラージュ療法を行い、自身の精神状態を確認していきます。
心理師は、人がそこにいる限りできる仕事。1対1のカウンセリングはもちろん、集団の中でも個人の心の動きに配慮して気持ちに寄り添うように努めています。私のポリシーとして、集団の中ではいつでも私を「道具」として利用してほしいという思いがあります。何か相談したくなったら来てくれればちゃんと受け止めますし、専門的なアドバイスが欲しいときは気軽に頼ってほしい。私はいつでもここにいます。
「希望志向」の
セルフケアを行います
短所を改善する「問題志向」だけではなく、長所を生かす「希望志向」で自分をケアし、自分らしい人生を送ることをめざします。
個々に合わせた
半オーダーメイドのケア
医療的に必要なプログラムを用意するとともに、本人からの希望や学びたいことをくみ取り、プログラムを作ることもあります。
「人と人」として悩みを
共有し支え合います
スタッフと患者という関係ではなく、互いに「人」として「仲間」として、ふれあい、サポートしあう関係性を大切にしています。
多職種のスタッフが
親身に相談に乗ります
看護師、心理師、作業療法士など医療やケアの専門家が連携、協力し、総合的な観点から皆さんを見守ります。
みんなで考え、
知恵を出し合う場
メンバーさんから「花壇をつくりたい」「料理をしたい」というアイデアが飛び出すことも。皆で協力して夢の実現に向かいます。
自主的な
クラブ活動があります
放課後の部活動のような集まりがあります。ダイエット部やマラソン部、病気や障害について語り合うクラブなど参加は自由です。
1日の始まりはウォーミングアップ
朝はいつも10時スタート。デイケアの広いルームにみんなが集まってウォーミングアップです。参加者はめいめい好きな席に座り、順番に簡単な自己紹介や呼ばれたい名前、相談したいことなどを話します。話し終わると周りから自然に拍手が。人前で話すことが苦手なら、無理に話さなくても離れたところにいても大丈夫。自分のペースで少しずつ輪の中に参加していきましょう。
豊富な講座で自分を知ろう
プログラムはさまざまなものをご用意しています。マインドフルネスの考えを取り入れたプログラムでは、「今・ここ」に意識を向けることで思考の切り替えを練習。悩みや不安に振り回されない自分をつくることをめざします。火曜午後は「元気回復行動プラン」として、自分を元気にするための自分だけの「道具(手段)」をつくる活動を行います。
病気とうまく付き合おう
看護師による健康講座で、病気や薬について、また睡眠や栄養について必要な知識を学びます。プログラム以外にも「ハピネスクラブ」といって、メンバー同士が病気や障害について話し合い、相手や自分のことを知ろうという時間もあります。最初は4人で始まった「ハピネスクラブ」が、今では20数人に。センシティブな事柄まで話し合えるのも、ここが支え合う場だからでしょう。
季節のイベントや好きなことを楽しもう
月1度、木曜午後にはレクリエーションの時間があり、クラフトや散歩、ゲームなどで楽しく過ごします。春にはお花見、冬にはクリスマス会など季節の催しも。プログラムの終了後は、ダイエット部、ドライフラワー部などメンバーさんが発案した「部活動」もあります。市から委託を受けて近くの公園管理をする園芸部では、花の世話などを通して地域の方とのつながりも生まれています。
土曜は「あつまれ わかものの森」
毎週土曜日は、「若者よ、集まれ!」ということで10~20代向けのプログラムがあります。月替わりでテーマを設けており、例えば声かけやあいさつ、話題づくりの方法を学べる「友達づくりのSST」。メレンゲクッキーやフルーツ大福などを計画から買い出しまで行う「おかしづくり」。プラ板や糸かけマンダラなどの「工作」。その他、カードゲームやボードゲームも行っています。
ともこころのクリニック
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